法律・お役立ち情報

平成25年1月1日から施行された家事事件手続法を取り上げたいと思います。
家事事件手続法とは、家事事件(離婚事件や成年後見事件など)の手続を定める法律です。
これまで家事事件の手続については家事審判法という法律があり、昭和22年の制定以降、大きな改正がされていませんでした。
そこで、家事事件の手続を国民にとって利用しやすく、現代社会に合った内容とするために、家事審判法を全面的に見直し、新たに家事事件手続法が制定されました。

家事事件手続法の成立によって大きく変わった点を4つほど説明します。
1)申立書の写しの送付
  相手方のある家事事件では、家庭裁判所は、手続の円滑な進行を妨げるおそれがある場合を除き、
  原則として、申立書の写しを事件の相手方に送付しなければならないこととなりました。
  DVなどを理由に相手方に住所を秘匿して避難している場合、申立書に秘匿住所を記載してしまう
  と相手方に住所が知られてしまいます。
  申立書に記載する住所には工夫が必要になりますので、弁護士や裁判所職員にご相談ください。
2)当事者による記録の閲覧謄写
  家事審判事件では、当事者からの閲覧謄写の請求は、原則として許可するものとされました。
  ただし、事件に関係する人のプライバシー侵害になるおそれがある場合等には例外として、不許可
  となります。
  家事調停事件では、相当と認めるときは記録の閲覧謄写を許可することができるとされていますが
  原則としては許可されます。
  やはりDV事案で問題になりますが、避難先の近くの病院で診断書を取り、その診断書を資料とし
  て提出した場合、裁判所は相手方に対し、診断書の閲覧謄写を許可することが多いです。
  避難先の住所を秘匿するためには、病院に関する情報をマスキングしてから提出したり、非開示に
  してほしいという申出書とともに提出するなどの工夫が必要になります。
3)審判の結果により影響を受ける者の手続保証
  審判の結果により影響を受ける者が手続に参加した場合、閲覧謄写等につき、当事者と同様の手続
  保証を受けられます。
  また、個別の家事審判事件ごとに、審判の結果により影響を受ける者等から陳述を聴かなければな
  らない場合が明記されました。
  特に子どもが影響を受ける事件では、子どもの意思を把握するように努め、これを考慮しなければ
  ならないとされました。
  ちなみに、「子どもの手続代理人」制度が始まりましたが、実際にはまだ殆ど利用されていないよ
  うです。
4)電話会議・テレビ会議システム
  当事者が遠隔地に居住しているとき等に、当事者の意見を聴いて、電話会議又はテレビ会議システ
  ムを利用して手続を行うことができるとされました。
  ただし、これらのシステムを利用して、離婚や離縁の調停を成立させることはできません。
  電話会議等で調停が行われることはまだ少なく、少なくとも、初回や成立時には出頭を求められま
  す。
  それでも、遺産分割事件などの長く続く調停で電話会議等が利用できることは、当事者や弁護士の
  負担を大きく軽減すると期待できます。

家事事件手続法が施行され、家庭裁判所の運用は大きく変わりました。
従前の感覚で、裁判所にだけ伝えるつもりで書面等を提出しても、基本的には相手方にも開示されてしまうので、とりわけDV事件等で秘匿しなければならない事項がある場合は、慎重に対処する必要があります。


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